茶色いカフェとは?
名前の由来
茶色いカフェの名前は、その色に由来します。何世代にもわたるたばこの煙で味わいを増した、茶色の木の内装、天井、壁です。オランダのカフェでは2008年から屋内が禁煙になりましたが、色はそのまま残っています。内装には定番のスタイルがあります。木のカウンター、テーブルに掛けたペルシャ絨毯、デルフト焼きのタイル、低い照明、古い写真、ときにはビリヤード台もあります。音楽は控えめか、まったくありません。ここは、おしゃべりをするための場所です。
茶色いカフェは、レストランでもナイトクラブでもありません。朝のコーヒー、夕方のビール、夜のジェネヴァと、どの時間帯にも立ち寄れ、常連の地元客と旅行者が入り混じっています。大麻を売っていてアルコールは出さない「コーヒーショップ」とは別物なので、混同しないようにしましょう。
ゲゼリヘイト:店の空気
茶色いカフェを語るときによく出てくる言葉がゲゼリヒ(gezellig)です。オランダ語の形容詞で、ぴったりの訳語はありませんが、温かく、居心地がよく、くつろげる、という意味合いです。冬の夜に人でいっぱいの店内、同じテーブルを分け合う見知らぬ人たち、常連の名前を覚えている店主。これがゲゼリヘイト(gezelligheid)です。周りに広い新しいバーがいくつもできても、こうした狭い店がいつも満席なのはそのためです。
作法:注文、飲み物、おつまみ
カウンターで迷わないためのポイントです。
- 注文:たいていの茶色いカフェでは、カウンターで注文して、その場で支払います。テラスや大きめの店内では、店員がテーブルを回ることも多いので、周りのお客さんの様子を見ましょう。
- 支払い:非接触型のバンクカードがほとんどの店で使え、現金を受け付けない店もあります。サービス料は含まれていますが、端数を切り上げて払うと喜ばれます。
- ビール:標準の生ビールはブロンドのピルスで、小さなグラスに注がれ、店員がヘラで泡の上部を削り取ります。修道院ビールやクラフトビールについては、アムステルダムのクラフトビールのガイドをご覧ください。
- ジェネヴァ(jenever):ジンの祖先にあたるオランダのジュニパー蒸留酒で、小さなチューリップ型のグラスになみなみと注がれて出てきます。ヨンゲ(jonge、若い、クセが少ない)とアウデ(oude、熟成、麦芽の風味が強い)があります。横にビールを添えて出す飲み方はコップストーチェ(kopstootje)と呼ばれます。
- おつまみ:たいていの茶色いカフェには、マスタード付きのビターバレン(bitterballen)、さいの目のチーズ、オッセンウォルスト(ossenworst)があります。サンドイッチ、スープ、自家製のアップルパイを出す店もあります。これらの名物は、アムステルダムで何を食べる?のガイドで紹介しています。
- テラス:天気のいい日は、どの店も運河沿いにテーブルやベンチを何席か出します。テラスの営業時間は市が定めていて、アムステルダムの夜のガイドで詳しく説明しています。テラスの外にグラスを持ち出すことはできません。中心部の広い範囲で路上飲酒が禁止されているためで、アムステルダムの路上でのアルコールと大麻のガイドで説明しています。
中央駅とダム広場の周辺
Café Karpershoek(1606年)
中央駅の向かい、プリンス・ヘンドリックカーデの角にあるCafé Karpershoek(Martelaarsgracht 2)は、アムステルダム最古のバーを名乗っています。1606年創業を主張していて、当時は東インド会社の船乗りが集まる店でした。大きな音楽のない「おしゃべりのための」カフェで、ビール、ビターバレン、アップルパイ、ポッフェルチェスを出します。テラスからは、自転車とトラムが行き交う様子が見えます。毎日10時〜深夜0時営業です。
In 't Aepjen(16世紀)

ザイデイク(Zeedijk)の入口にあるIn 't Aepjen(Zeedijk 1)は、16世紀の木造ファサードの家に入っています。中心部に残る2軒の木造家屋のひとつです。言い伝えでは、船乗りたちは海外から連れてきたサルで勘定を払うこともあったそうで、店名(「小さなサルの家」)はそこから来ています。店内には古い瓶、版画、絵画が所狭しと並んでいます。毎日正午から営業しています。ザイデイクはそのままレッドライト地区の端に沿ってニーウマルクトまで続いています。
Wynand Fockink(1679年)

ダム広場のすぐ裏、ペイルステーク(Pijlsteeg)の路地にあるWynand Fockink(Pijlsteeg 31)は、厳密には茶色いカフェではなく、蒸留所のテイスティングルームであるプルーフローカール(proeflokaal)です。蒸留所は1679年創業で、Wynand Fockinkが1724年に引き継ぎました。古い瓶が並ぶカウンターの前で立ったまま、昔ながらの名前のジェネヴァやリキュールを飲みます。たとえば「Volmaakt Geluk(完璧な幸せ)」や「Bruidstranen(花嫁の涙)」です。伝統として、最初のひと口は、カウンターに置かれたグラスに身をかがめて飲みます。毎日15時〜21時営業で、隣のショップでは瓶を販売しています。
In de Wildeman
中央駅から数分のIn de Wildeman(Kolksteeg 3)は、元蒸留所の建物にあるビアバーで、暗い色の木の内装が特徴です。常に入れ替わる生ビール18種類と、約250種類の瓶ビールがあります。営業は月〜木が12時〜深夜0時、金・土が12時〜午前1時で、日曜は休みです。
Café 't Mandje(1927年)
ザイデイクをさらに進んだところにあるCafé 't Mandje(Zeedijk 63)は、同性愛者であることを公言して生きていたBet van Beerenが1927年に開いたバーで、市内で最も古いLGBTQIA+のバーのひとつです。1982年に閉店し、2008年に再開し、改装を経て2025年6月1日にもう一度再オープンしました。営業は火〜木が16時〜午前1時、金・土が15時〜午前3時、日が15時〜午前1時で、月曜は休みです。
スパイ広場からレンブラントの家まで
Café Hoppe(1670年)
スパイ(Spui)広場にあるCafé Hoppe(Spui 18-20)は、1670年から酒を出しています。2つの店内がつながっていて、18番地の古いほうは歴史的建造物として保護されており、20番地は20世紀初めに増築されました。政党D66はここで結成され、テラスは広場に面しています。営業は日〜木が9時〜午前1時、金・土が9時〜午前2時です。
De Sluyswacht(1692年)
ヨーデンブレーストラート(Jodenbreestraat)の角、レンブラントの家の真向かいにあるDe Sluyswacht(Jodenbreestraat 1)は、旧水門番の家に入っています。店の説明では1692年築で(ファサードには「anno 1695」の刻字があります)、隣の水門を操作する人のために建てられました。小さな建物は大きく傾いていて、建物をぐるりと囲むテラスから、オウデ・スハンス運河とモンテルバーンス塔が見えます。営業は月〜水が12時〜深夜0時、木が12時〜午前1時、金・土が12時〜午前2時、日が13時〜20時です。
ヨルダーンの茶色いカフェ
かつての労働者の街ヨルダーンは、茶色いカフェの街の代表です。3軒を挙げると、この街の性格がわかります。
Café 't Papeneiland(1642年)
地区の北端、プリンセン運河とブラウワース運河の角にある't Papeneiland(Prinsengracht 2)は、1642年に建てられた家に入っています。17世紀には、7番地にあった隠れカトリック教会との間をトンネルがつないでいて、その入口は今も地下室にあります。カフェは1896年に「De Blauwe Druif」という名前で開業し、のちに「教皇派の島」にちなんだ名前になりました。店内には、デルフト焼きのタイル、古い暖炉、自家製アップルパイがあり、ビル・クリントンがアムステルダム訪問のときに味わいに来たそうです。毎日11時〜午前1時営業で、金・土は午前2時までです。
Café 't Smalle(1780年ごろ)

エヘランティールス運河(Egelantiersgracht)沿いにある't Smalle(Egelantiersgracht 12)は、1780年ごろにドイツからやってきたPieter Hoppeにさかのぼります。彼はここでワイン商を引き継ぎ、のちにリキュールの蒸留所を開きました。店内はとても小さく、水面すれすれのテラスは、天気のいい日にとても人気があります。1987年から続いていた浮き桟橋は、2023年5月に撤去されました。営業は月〜水が14時〜深夜0時、木が14時〜午前1時、金が13時〜午前1時、土が12時〜午前1時、日が12時〜23時です。
Café De Twee Zwaantjes(1921年)
プリンセン運河沿いのDe Twee Zwaantjes(Prinsengracht 114)は、歌うカフェです。1921年から、常連客がオランダの大衆歌謡「レーヴェンスリート(levenslied)」を声をそろえて歌ってきました。内装は創業当時からほとんど変わっておらず、運河沿いのテラスからは西教会(Westerkerk)の塔が見えます。営業は月〜木が12時〜午前1時、金・土が12時〜午前3時、日が12時〜午前1時です。
一覧表
| カフェ | 住所 | 地区 | 創業 | 営業時間 |
|---|---|---|---|---|
| Karpershoek | Martelaarsgracht 2 | 中心部、駅 | 1606年(店の説明による) | 毎日10時〜0時 |
| In 't Aepjen | Zeedijk 1 | 中心部、ザイデイク | 16世紀の家 | 毎日12時から |
| Wynand Fockink | Pijlsteeg 31 | 中心部、ダム広場 | 1679年 | 毎日15時〜21時 |
| In de Wildeman | Kolksteeg 3 | 中心部、駅 | 元蒸留所 | 月〜木12時〜0時、金・土12時〜1時、日曜休み |
| 't Mandje | Zeedijk 63 | 中心部、ザイデイク | 1927年 | 火〜木16時〜1時、金・土15時〜3時、日15時〜1時、月曜休み |
| Hoppe | Spui 18-20 | 中心部、スパイ | 1670年 | 日〜木9時〜1時、金・土9時〜2時 |
| De Sluyswacht | Jodenbreestraat 1 | ニーウマルクト | 1692年 | 月〜水12時〜0時、木12時〜1時、金・土12時〜2時、日13時〜20時 |
| 't Papeneiland | Prinsengracht 2 | ヨルダーン | 1642年築の家 | 毎日11時〜1時、金・土11時〜2時 |
| 't Smalle | Egelantiersgracht 12 | ヨルダーン | 1780年ごろ | 月〜水14時〜0時、木14時〜1時、金13時〜1時、土12時〜1時、日12時〜23時 |
| De Twee Zwaantjes | Prinsengracht 114 | ヨルダーン | 1921年 | 月〜木12時〜1時、金・土12時〜3時、日12時〜1時 |
営業時間と料金は2026年10月に確認したものです。祝祭日は営業時間が変わることがあります。
実用的なヒント
- 行くタイミング:平日の午後は店内が比較的静かです。金曜と土曜の夜は、有名な店はすぐに満席になります。
- グループで:店内は狭いので、4〜5人を超える場合は、広いテラスのあるカフェ(Hoppe、Karpershoek、De Sluyswacht)を選ぶか、午後の早い時間に行きましょう。
- 食事:茶色いカフェは軽いおつまみには十分ですが、夕食には向かないことが多いです。しっかり食べるなら、アムステルダムの食事処のガイドをご覧ください。
- 年齢:アルコールの提供は18歳以上のみです。身分証明書を携帯してください。
さらに楽しむために
茶色いカフェを何軒かはしごするなら、ブラウワース運河からエヘランティールス運河へ歩くコースが最も気持ちよく、ヨルダーン地区のガイドのルートが参考になります。ビターバレン、オッセンウォルスト、ジェネヴァはアムステルダムで何を食べる?のガイドで、クラブから夜行バスまで続きの夜の過ごし方はアムステルダムの夜のガイドで紹介しています。







